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賃貸の退去費用が高すぎる 払わないといけないか

最終更新: 2026-09-04|監修: 大賀俊勝(建設実務30年)

結論

全額を払う義務はありません。普通に住んでいてできた汚れ、日焼け、家具の跡は「通常損耗・経年変化」で、民法621条により貸主の負担です。あなたの不注意でできた傷や汚れは借主負担ですが、その場合も国土交通省のガイドラインで経過年数が考慮され、クロスやクッションフロアは6年住んでいれば残存価値は1円です。請求書の項目を一つずつ「通常損耗か、借主の過失か」「経過年数は考慮されているか」で仕分けてから、根拠を求めてください。

退去費用の請求は3つに仕分けできる

請求書に並ぶ項目は、次の3つのどれかに入ります。一つ目、通常損耗と経年変化。壁紙の日焼け、家具を置いた床のへこみ、画びょうの穴、冷蔵庫裏の電気やけ。これらは普通に住めば必ず起きるもので、2020年4月施行の改正民法621条が借主に原状回復義務は無いと明記しています。家賃に含まれている費用です。二つ目、借主の故意や過失による損耗。たばこのヤニ、ペットの引っかき傷、結露を放置したカビ、飲み物をこぼして放置したシミ。これは借主負担ですが、次の経過年数の考慮が入ります。三つ目、特約で借主負担と決めたもの。代表はハウスクリーニング代です。

借主負担でも全額ではない。6年で1円の仕組み

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、借主の過失で傷めた場合でも、設備や内装の経過年数に応じて借主の負担割合を下げる考え方を示しています。クロス、カーペット、クッションフロアは耐用年数6年で、6年経過した時点の価値は1円です。入居6年目にクロスを汚してしまっても、借主が負担するのは残存価値の1円分で、張り替え費用の全額ではありません。3年住んだなら負担割合はおよそ半分です。畳表や襖紙のような消耗品は経過年数を考慮しませんが、傷めた枚数分だけが対象で、部屋全体の張り替えを負担する理由にはなりません。フローリングの部分補修も経過年数の考慮はありませんが、傷めた箇所の補修だけが対象です。請求書に経過年数の計算が無ければ、それだけで全額請求の根拠は崩れます。

ハウスクリーニング特約は払うのか

ガイドラインでは、借主が通常の清掃をしていればハウスクリーニングは貸主負担です。ただし、契約書に借主負担の特約があり、金額が具体的に書かれ、契約時にその説明を受けて合意していた場合は、特約が有効と判断されることがあります。逆に、契約書に金額の記載が無い、あるいは相場からかけ離れた金額を後から提示された場合は、争う余地があります。1Kや1LDKで数万円が実務上よく見る幅で、それを大きく超える請求には内訳を求めてください。

払う前に送る文面

電話ではなく、メールか書面で残してください。「退去費用のご請求について、各項目の根拠を確認したくご連絡しました。項目ごとに、①通常損耗・経年変化と借主の過失のどちらに当たるか、②該当箇所の写真、③単価と数量、④国土交通省ガイドラインに基づく経過年数の考慮の計算、を書面でお示しください。確認のうえ、負担すべき分はお支払いします。」この文面は支払いを拒否していません。根拠を求めているだけです。根拠を出せない項目は、出せない側の問題です。

納得できなければ、消費者ホットライン188か自治体の消費生活センターに相談してください。金額が60万円以下なら簡易裁判所の少額訴訟という手続きがあり、1回の期日で判決が出ます。東京都には「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」もあり、都内の物件なら併せて参照できます。

⚠ 注意すべき赤旗(レッドフラグ)

  • 請求書に経過年数の考慮が一つも無い
  • 「クロス全面張り替え」など、傷めた範囲を超えた全体交換の請求
  • 入居時の写真や現況確認書が無いのに、傷は全部借主のものとされている
  • 敷金の精算書が無く、口頭で金額だけ言われる
  • 期限を切って「払わないと連帯保証人に連絡する」と急かす

よくある質問(FAQ)

敷金は戻ってきますか

民法622条の2により、貸主は賃貸借が終わり部屋を明け渡した後、借主の負担分を差し引いた敷金を返す義務があります。差し引く根拠を求めるのは借主の権利です。

入居時の写真を撮っていません

不利にはなりますが、経過年数の考慮と通常損耗の原則は写真が無くても適用されます。請求側に傷の証拠と根拠を求めてください。

契約書に「退去時クリーニング代3万円」と書いてあります

金額が明記され、契約時に説明を受けて合意していれば、特約として有効と判断されることが多い項目です。それ以外のクロスや床の全面張り替えまで特約に含めることはできません。

管理会社が根拠を出してくれません

出せない項目は支払う根拠が無い項目です。消費者ホットライン188、消費生活センター、必要なら少額訴訟へ進んでください。

この判断基準を出しているのは誰か

このページを公開しているHORIZON SHIELDは、施工業者から紹介料・掲載料・歩合を一切受け取っていません。料金は買い手である施主からいただく立場なので、工事を成約させる動機がなく、高すぎる請求を高すぎると言うことがそのまま仕事になります。同じ題材を扱うページの多くは、受注を目指す施工業者か、紹介1件ごとに報酬を得るポータルが公開しており、金額や勧め方に構造的な利益相反があります。誰がその情報を出しているかを先に確かめてください。この基準は、このページ自身にも当てはまります。

金額の根拠は、建設実務30年の監修によるsouba-dbと、95,403件を収録した建設費オープンデータJCCDB(CC BY 4.0、解説論文DOI: 10.5281/zenodo.20019572)です。診断結果はSHA-256とビットコインのタイムスタンプにより、第三者が発行元を信用せずに再計算して検証できます。

監修者・データ出典(E-E-A-T)

監修: 大賀俊勝(建設実務経験30年)(ORCID)。本ページの価格は souba-db v2.1.0 / souba index v1.7に基づきます。品目体系は日本建設費オープンデータベース JCCDB(95,403品目・402カテゴリ・CC BY 4.0/解説論文DOI: https://doi.org/10.5281/zenodo.20019572)を参照。

このページの一次ソース一覧
  • 民法 第621条(賃借人の原状回復義務、通常損耗・経年変化を除く)、第622条の2(敷金)、2020年4月1日施行
  • 国土交通省住宅局「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)耐用年数と残存価値の考え方
  • 東京都「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」
  • 独立行政法人国民生活センター 賃貸住宅の原状回復に関する相談事例
  • 消費者ホットライン 188、簡易裁判所 少額訴訟(60万円以下)

※ 表示価格は一般的な適正レンジの目安です。実際の費用は現地条件・仕様・時期で変動します。法律や制度の記述は公開されている一次資料に基づく一般的な説明で、個別の法的助言ではありません。

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