基礎補強工事 ・ 見積もりの読み方
床下で基礎にヒビと言われたけど、
これって高いの?
立ち止まって正解です。床下は自分の目で確認しづらく、しかも基礎補強材は日本では材料価格が非公開という、二重の情報格差がある工事。製品そのものは正規でも、価格と施工範囲が見合っているかは、別の話です。
QUICK ANSWER
基礎補強(アラミド繊維+エポキシをコンクリートに貼る工法)は橋梁にも使われる正規の工法です。問題は価格の見えにくさ。建坪25坪程度で75万円前後という施工例を現場では耳にしますが、本来きちんと施工すれば数日かかる工事です。「基礎が潰れる」と即日契約を迫られたら、まず第三者の診断を取ってください。
基礎補強(タックダイン等)とは何か
劣化やひび割れが生じたコンクリート基礎に、アラミド繊維シートをエポキシ樹脂で貼り付けて補強する工法です。橋脚や高速道路の公共工事にも使われる連続繊維シート補強工法で、製品自体は信頼性のある正規の材料です(メーカー公表)。床を解体せず床下から施工でき、工期は住宅規模にもよりますが1〜3日程度とされています。製品が悪いという話ではありません。問題は、必要のない範囲まで施工させたり、価格が見えないことを利用して過大に請求したりする一部の業者の売り方です。
現場で聞く相場の目安
25坪・床下基礎補強(現場で聞く施工例)75万 前後
本来の工程の目安数日
建坪25坪程度の戸建てで75万円前後という施工例を、現場では耳にします。一方で、まともに施工すれば本来は数日かかる工事のはず。価格そのものより、その金額に見合う施工範囲・工程になっているかを確認することが大切です。
出典:建設実務30年の現場で聞く実勢(大賀俊勝)。金額は一例であり、基礎の状態・施工範囲・地域で変動します。
ここが核心 ・ 材料価格の「情報格差」
基礎補強でいちばん見えにくいのが、材料の価格です。日本では、基礎補強材(アラミド繊維+エポキシ)の単価を、メーカーも販売店も「業務用につきお問い合わせください」として非公開にしているのが一般的です。施主が原価を確認する手段が、構造的にありません。
一方、同じアラミド繊維+エポキシ系統の補強材料は、海外の素材店ではメートル単位で価格が公開され、小売されています。同じ素材系統なのに、日本では見えず、海外では見える。この情報の非対称が、床下という見えない場所と重なって、価格の妥当性を施主が確かめにくくしています。
出典:日本の販売店の価格表記(業務用商品につき問い合わせ)、および海外の繊維素材店の公開小売価格。両者は同一製品ではなく同系統の素材であり、海外価格をそのまま国内の原価とみなすことはできません。あくまで「価格が公開されているか否か」の対比です。
海外公開価格で計算すると、材料費はいくらか
日本では非公開の材料費を、海外の公開価格から概算してみます。アラミド繊維シートは、海外の素材店で1平米あたりおよそ数百円〜4,000円台で公開・小売されています(欧州の小売で約25ユーロ/㎡、アジアの業務卸ではより安価)。25坪程度の戸建ての基礎全周(外周+内部の通り)に施工する場合、施工面積はおよそ20平米前後。これにエポキシ樹脂と海外からの輸送費を加えても、材料費の概算はおおむね10〜20万円程度に収まります。
材料費の概算(海外公開価格+輸送費)10〜20万
現場で聞く施工例(25坪)75万 前後
差額の大半は、施工費・技術料・利益です。施工費そのものは正当な費用であり、これ自体は問題ではありません。問題は、その金額に見合う施工(基礎全周への確実な施工)が本当に行われたかを、施主が床下で確認できないことです。床下という見えない場所、材料価格の非公開、そして施工範囲の検証困難。この三つが重なると、価格の妥当性を施主が確かめる手段が、ほとんど残りません。
出典:海外素材店の公開小売価格(MULTITEX Composites 等)。為替は2026年6月のおおよそのレートで換算。海外品と国内のタックダイン等は同一製品ではなく、これは材料だけの概算で、施工費・技術料・保証・国内の品質基準を含みません。材料原価を断定するものではなく、価格が公開されているか否かと、概算のレンジを示すものです。基礎の延長・施工面積・施工範囲により変動します。
「全体を補強しないと潰れる」は本当か
基礎全体の補強が必ず必要とは限りません。良心的な業者が全体を点検した結果、「通気口の周りにクラックはあるが、全体に大きなクラックはない」として部分施工で足りたという公開事例があります。同じ基礎を見ても、全面施工を勧める業者と、部分で足りるとする業者で判断が分かれます。通気口の周りはもともとクラックが入りやすい場所で、そこだけの補修で済むこともあります。「全体を巻かないと危ない」と即決を迫られたら、それ自体が立ち止まる理由です。
公的機関も注意喚起 ・ 床下の点検商法
床下の基礎補強・シロアリ駆除・床下換気扇は、国民生活センターが点検商法の典型品目として注意喚起しています。「無料点検」を口実に床下に入り、不安をあおって高額契約を迫る手口です。報告された事例には、点検と言って訪問し勝手に作業を始めて高額契約を書かせるもの、一人暮らしの高齢者が怖くて約50万円を現金前払いしたものなどがあります。床下は施主が自分で見られないことが、つけ込まれる最大の理由です。
出典:国民生活センター「点検のはずが…強引なシロアリ駆除サービスの勧誘」、各自治体消費生活センターの注意喚起。
基礎補強で「赤旗」が立つポイント
- 基礎の不安を過剰にあおる ・ 「このままでは潰れる」「地震で倒れる」と恐怖で即日契約を迫る。
- 部分で足りるのに全面施工 ・ 必要範囲の説明がないまま、基礎全体の補強を勧めてくる。
- 工程と作業実態が合わない ・ 本来数日かかる工事が、極端に短時間で終わる。手間に対して金額が高すぎないか。
- 材料の量・単価・範囲の内訳がない ・ 「一式」でまとめられ、何にいくらかかっているか見えない。
- 無料点検からの即決 ・ 床下に入って不安をあおり、その場で契約を迫る。点検写真が自宅のものか要確認。
- 全周施工を謳うが、施工範囲が確認されない ・ 床下は施主が見えないため、契約通り全周に施工されたかの検証が難しい。施工前後の写真や、第三者の確認を求める。
こんな言葉が浮かんだら、立ち止まっていい
- 床下の基礎にヒビがあると言われたけど、これって高いの
- 基礎補強で75万って言われたけど、これって妥当なの
- タックダインを塗らないと家が潰れると言われたけど本当なの
- 床下点検に来た業者に、その場で契約を迫られている
- 基礎全体を補強しないと危ないと言われたけど、本当に全部いるの
- 基礎補強の見積もりが一式で、内訳が分からない
解説 ・ 大賀俊勝(元大工 / 現場歴30年)。15歳で大阪の建設現場に入り、職人・現場監督・建設マネジメントを経て、建設費の情報非対称をなくすためにHORIZON SHIELDを立ち上げた。
よくある質問
床下で基礎にヒビがあると言われたけど、補強工事は高いの?
基礎補強(アラミド繊維+エポキシ樹脂をコンクリート表面に貼る工法)は橋梁などにも使われる正規の工法です。建坪25坪程度の戸建ての床下基礎補強で75万円前後という施工例を、現場では耳にします(建設実務30年の現場で聞く実勢)。一方で、本来きちんと施工すれば数日かかる工事のはずが、短時間で終わるケースも報告されています。価格と施工内容(範囲・工程)が見合っているかを確認してください。
基礎補強材(タックダイン等)の材料はいくらなの? 原価が知りたい
ここに情報格差があります。日本の基礎補強材(アラミド繊維+エポキシ)は、メーカーも販売店も材料単価を「業務用につきお問い合わせください」として非公開にしているのが一般的です。一方、同じアラミド繊維+エポキシ系統の補強材料は、海外の素材店ではメートル単位で価格が公開され、小売されています。施主が原価を確認しにくい構造がある、という点を知っておいてください。なお海外品と国内品は同一製品ではないため、海外価格をそのまま国内原価とみなすことはできません。
基礎の全体を補強しないと潰れると言われたけど、本当?
必ずしも基礎全体の補強が必要とは限りません。良心的な業者が全体点検した結果「通気口の周りにクラックはあるが全体に大きなクラックはない」として部分施工で足りたという公開事例もあります。同じ基礎を見ても、全面施工を勧める業者と部分施工で足りるとする業者で判断が分かれます。全面施工を即決で迫られたら、第三者の診断を取ってください。
床下点検商法とはどういう手口?
「無料で点検する」と訪問し、床下に入って「基礎が危ない」「シロアリがいる」「このままでは潰れる」などと不安をあおり、その場で高額契約を迫る手口です。国民生活センターも床下のシロアリ駆除・床下換気扇・基礎補強を点検商法の典型品目として注意喚起しています。床下は施主が自分の目で確認しづらいため、特に標的になりやすい工事です。即日契約せず、複数社の見積もりを取ってください。
もう契約してしまった。解約できる?
訪問販売による契約は、法定の契約書面を受け取った日を含めて8日以内であればクーリング・オフできます。書面を受け取っていない場合はいつでも可能です。事実と異なる説明で契約させられた場合は、期間を過ぎても取り消せる場合があります。お住まいの自治体の消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談してください。
その基礎補強の見積もり、一枚あれば見ます。
EHN(見積もり達人ニュース)に貼れば、業者名・個人情報を伏せて、AIが内訳と必要範囲を解剖します。一人で悩まないでください。
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