大工の見習いから始めました。1993年、15歳のときです。右も左も分からん小僧が、木を削るところから覚えていきました。それから30年、現場監督もやりました、施工管理もやりました。途中でマグロ漁船に乗ったこともあれば、海外で畑を耕したこともあります。回り道に見えるかもしれません。でも振り返れば、全部が今のこれに繋がっています。
30年、現場にいて、いちばん腹が立ったのは、施主さんが相場を知らないまま、平気で過剰請求されることでした。本来100万円で済む工事に、200万円の見積もりが出る。施主さんは「そんなものか」と払ってしまう。物差しが無いからです。
日本には、リフォームの適正価格を教えてくれる公的な仕組みがありませんでした。相見積もりを3社取っても、3社とも高ければ、比べても意味がない。プロは相場を知っている。素人は知らない。この情報の格差が、まっとうな施主さんを食い物にしていました。
歳を重ねてから、コードを一から覚えました。狙いはひとつ、誰でも使える「適正価格の物差し」を作ることです。それがHORIZON SHIELDです。現場で30年かけて頭に叩き込んだ相場と、業界の商習慣を、データとして誰でも引ける形にしました。
たとえばシロアリ駆除。20万円の見積もりが高いのか安いのか、薬剤の原価から逆算すれば見えてきます。外壁塗装も、屋根も、給湯器も、工事ごとに適正なレンジがある。それを地域ごとの相場として整理しています。
うちのやり方が、他と決定的に違う点があります。適正価格を、業者の見積もりが出る「前」に、第三者が改ざんできない形で記録しておくのです。数値をSHA-256のハッシュで刻んで、ブロックチェーンに繋ぐ。後から都合よく数字を書き換えられないようにするためです。
だから私は「信じてください」とは言いません。「自分で検証してください」と言います。発行者である私を信用する必要すらない。数字とハッシュを突き合わせれば、誰でも改ざんの有無を確かめられる。それが、私の作った物差しの正体です。
私は施主さんの味方でも、業者の味方でもありません。審判です。30年現場にいた人間が審判をやるから、数字に嘘がない。カンナもまともに握れなかった小僧が、いまはコードと相場データで、まっとうな取引を守っています。回り道は、無駄ではありませんでした。